HSPは会社員に向いてないと完全に悟った

先日、X(旧Twitter)でも書いたように、私は去年(2023年)の10月から再び会社員として働き始めた。

この記事を書いてる現在で、働いてから約3ヶ月ほど経過している。

今の心境を率直に表すと疲労困憊である。

わかってはいたが、HSPは会社勤めにとことん向いてない。

そのことを心の髄まで感じた。

今回は、そんな私の心境を元に、HSPがなぜ会社員に向いてないのかを語りたい。

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私の現在の労働環境

本題に入る前に、まずは事前情報として私が今働いている会社の概要を説明する。

会社の事業は精密機械を販売している会社で、主な仕事内容は商品に依頼されたデータを打ち込み、それをお客に発送するというもの。

就業時間は9時から18時までで、残業は滅多に発生しない。

昼休みは1時間で、その他にも小休憩を各々で自由に取れるし、席を離れても咎められることはない。

働いている人達も特に変な人はいないし、私の苦手なハイテンション系(いわゆる陽キャと言われる人)の属性もいない。

この概要説明からもわかるように、世間一般的にはホワイトの分類に属する会社だと思われる。

実際、私自身も過去に働いてきた会社の中では間違いなく上位の労働環境だと思っている。

しかし、それでも私は会社で働くことが物凄く辛いのである。

理由は以下の通りだ。

不特定多数と接することの苦悩

組織で働くということは、大多数の人間と関わるということ。

いくら変な人はいないと言っても、やはり合わない人間はいるものだ。

プライベートなら絶対に関わらないであろう人間とも、仕事では関わらなければならない。

会社勤めにおいて、このこと自体は当たり前ではあるが、HSPの辛いところは相手の感情が直接自分の心に流れ込んでくることだ。

今日はなんか不機嫌だな、妙にイライラしてるな、元気がないな、等。

知りたくないにも関わらず、無意識に相手の気持ちが伝わってきてしまう。

これはHSPの特性である相手の感情を察知して共感・同調してしまう性質が要因だ。

普通の人なら、合わない(嫌いな)人とは最低限の仕事のやり取りだけをして終わらせればいいだけのこと。

しかし、HSPにはそれができず、少しでも関われば相手の感情まで背負うことになってしまう。

ただでさえ合わない人間にも関わらず、このような感情まで負担することになれば、それだけで心が疲弊してしまう。

特に、一日中一緒の空間で行う仕事では、どうあがいてもこれを回避することができない。

私の現在の仕事は、事務系の仕事で、パーテーションなどの敷居もない。

12畳ほどの部屋に5~6人で作業しているため、距離感も比較的近い。

そのため、どうしても職場の人間の気持ちに晒されることになる。

HSPの人間は、特に何もなくても、「他人と同じ空間にずっと一緒にいる」というだけで心が疲弊してしまうのだ。

繊細であるがゆえの弊害

HSPの人間は心が繊細であるため、とにかく打たれ弱い。

普通の人にとっては些細なことでも、HSPにとっては深く傷つく要因になる。

たとえば、挨拶をしても相手から返事が返ってこない、など。

こういうことがあると「自分は嫌われてるんだ」と、物凄く落ち込んでしまう。

もちろん、相手にとってはそんなに深く考えてるわけではないかもしれないし、単純にこちらの声が聞こえなかっただけかもしれない。

そう頭ではわかっているのだが、そういうことがあると一日中そのことが頭から離れなくなる。

そして、さらにキツイことが「怒られること」だ。

職場の先輩に仕事のやり方を注意されたり、怒られたりすると、HSPの心はもう大パニックである。

落ち込むだけに留まらず、自分を必要以上に責め続け、心に暗雲が立ち込める。

最悪の場合、そのことを1週間以上引きずることもある。

もう過ぎことだとわかっていても、何度も頭の中で反芻してしまうのだ。

その弊害として、「怒られた相手」とそれ以降普通に接することができなくなってしまう。

相手の方は特に気にしていなくても、HSPはその人の顔を見る度にその時の情景が呼び起こされるようになる。

怒られた時の相手の表情や感情・声質などが事細かに頭に浮かび上がってしまうのだ。

どんなに相手がいい人だとわかってはいても、そのことが頭をよぎり、「委縮する」または「心の引っ掛かり」が消えずに、不自然な態度を取ってしまう。

そうして自己嫌悪に陥るのである。

こういった些細なことを日々溜め込むことも、HSPの心が疲弊していく要因となる。

一人の時間が取れない苦悩

そして最後に、HSPが会社勤めをするうえで、最も辛いことは内省する時間が取れないことだ。

会社勤めをすると、毎日決まった時間で生活を行わなくてはならない。

起床時間、就業時間、帰宅時間、就寝時間。

すべての行動は決められた時間通りに行わなければならなくなる。

こうした時間に追われた生活の中では、なかなか自分の時間を作ることができない。

HSPにとっては、これがなによりも辛い。

なぜなら、HSPは一人になってじっくりと頭の中を整理して自分の考えをまとる行為をしなければ、エネルギーが充電できないからだ。

会社勤めになると、毎日、朝早くに起きて出勤し、帰宅後は夕飯、お風呂、明日の準備など、仕事を中心にした生活になる。

せいぜい自分の時間は作れても1時間程度だ。

それ以上時間を作ろうと思えば、就寝時間を削るしかない。

これでは、とてもじゃないがゆっくりと内省することはできない。

会社勤めをしている人にとっては至極普通の生活ではあるが、この普通の生活こそがHSPにとっては苦痛そのものなのである。

ただでさえ会社で不特定多数の感情に晒されて疲弊しているにも関わらず、帰ってからもエネルギーを充電することができない。

これでは心がヘトヘトになるのは当然である。

HSPと非HSPの決定的な違い

ここまでHSPの苦悩を話してきたが、恐らくHSPでない人にとっては、私の発言はただの甘えだと感じてしまったかもしれない。

「仕事で辛いのはHSPだけじゃない」「みんなそれでも頑張ってるんだ」

そんな言葉が聞こえてきそうだ。

言葉でどんなに説明しても、HSPの実際の感覚は当事者しかわからないのだから無理もないだろう。

さらに言えば、前述したように非HSPの人間も働いて疲れていることには変わりないのだ。

だからこそ、HSPの人間の訴えが、ただの戯言に聞こえてしまうのかもしれない。

だが、そのことを踏まえても、もう少しだけHSPに寄り添ってほしい。

私が思うに、HSPと非HSPで決定的に違うのは「疲労の蓄積量」「回復手段」である。

ここまで話してきたように、HSPは他人の感情を無意識に汲み取ってしまい、それゆえに些細なことで気疲れしてしまう。

それはつまり、非HSPよりも受ける疲れが多いことを意味している。

これはあくまで私の体感からくる推測だが、仕事をして非HSPの人間が一日に受ける疲労が「20」だと仮定すれば、HSPの人間の疲れは「25」だと思っている。

たかが「5」の差だと思うかもしれないが、この「5」も蓄積していけばかなり違うのだ。

実際、これを週5日で換算すると、非HSPの人間は20×5で「100」の疲労度になるところを、HSPの人間は25×5で「125」の疲労度になってしまう。

つまり、自分の限界量を超えてキャパオーバーになってしまうのだ。

ネットでは、よくHSPの人間が「週5日働けない」と口にしているのを見かけるが、私の仮説が正しければ、その感覚は当然である。

週4日働くだけで、非HSPの人間が週5日働くのと同程度の疲労度になってしまうのだから。

そしてもうひとつ、HSPは回復の手段が非HSPとは違うことも大きな要因である。

HSPと違い、大多数の非HSP(外向的な人間)の英気を養う方法は人と交流することである。

恋人、友達、家族。

そうした自分の大切な人(好きな人)と食事をしたり、遊んだり、出掛けたり等、誰かと一緒の時間を過ごすことでエネルギーが充電されるのだ。

しかし、前述したようにHSPが回復するためには「一人の時間」を過ごさなければならない。

一人でゆっくりと内省したり、自分が感銘を受ける本や音楽、映画などに触れたりすることで、自分の心にも活力が戻ってくる。

よって、非HSPに比べて、回復するのにどうしても時間を要するのである。

外向的な非HSPの人間ならば、どんなに仕事が忙しくても、休日に人と触れ合うことでエネルギーが充電されるので、比較的に回復しやすいだろう。

一方で、HSPの人間は回復する手段が「一人になること」なので、平日にキャパオーバーになれば、休日は本当の意味で体を休めることしかできなくなる。

そうして、ようやく動けるようになった頃には、翌日はまた仕事に行かなければならない。

つまり、純粋な意味で休日を謳歌できないのである。

このような日々を送っていけば、心が病んでいくのも必然と言えるだろう。

HSPと非HSPでは、同じ生活をしていても、その実態は全く違う世界を生きているのと同義なのである。

HSPのことを全ては理解できなくても、どうか少しでもこの違いを頭の片隅に入れておいて欲しいと願う。

HSPが会社員として働く代償

以上のようにHSPが組織で働くことは非常に困難だと言わざるを得ない。

実際、私は会社で働き出して1カ月ほどで精神が疲弊しているのを感じた。

毎日、頭の中が霧がかかったように不鮮明で、どうにも気が重いのだ。

この症状は過去にも会社員として働いていた時もそうだった。

もうこれは気のせいではなく、完全にHSPならではの精神疲労である。

誤解されないように言っておくが、私は働く意欲はあったのだ。

いい会社だと感じたし、働き始めた当初は、ここでなら働きながら休日も満喫できるライフワークバランスを実現できる、と本気で思っていた。

しかし、それは無理だった……。

休日は疲れが一気に溢れ出し、比喩ではなく一日中寝ていることしかできない。

これはもうやる気や根性でどうにかなる問題ではない。

HSPである以上、会社勤めをすると、他のことをする余力が完全に失われてしまうのだ。

今回そのことを肌で実感した。

私は、もう組織で働くことは今の会社で最後にしようと思う。

今回働いたことで、私には会社員として働くことは無理だと悟った。

もし、このまま生涯会社勤めをすれば、間違いなく心をコ〇スことになる。

心を完全に閉ざして、何も感じず、何も考えない。

そうすれば、もしかしたら定年まで会社勤めをすることができるかもしれない。

しかし、心をコ〇スことになれば、「私が私でいることの意味」がなくなってしまう。

私には使命がある。

そのひとつは、私と同じような感性の人間を幸せにするための導きを示すこと、だと思っている。

いずれ、そのことを記した本を出したいと考えている。

だが、それは会社で働きながらでは絶対にできないことだ。

今回、この会社に入って良かったことは、ホワイト企業だからこそ、私には会社勤めは無理だと完全に悟ることができたこと。

これがもし、会社がブラック企業だったら、環境が悪いだけで、まだ私には普通の社会人生活ができるポテンシャルはある、と思っていただろう。

その証拠に、実は私は過去にも「HSPはサラリーマンに向いてない」という記事を書いている。

私自身すっかり忘れていたのだが、その記事内でも今回と同じようなことが書かれていた。

やはり人間とは、時が経つとその時の感情を忘れてしまうようだ……。

だが、今回この会社に勤めることで、今度こそ完全に会社勤めへの思いを断ち切ることができた。

きっと、それを思い出すためにもこの会社で働くことは私にとっては必要なことだったのだろう。

そう考えると、この経験は決して無意味なことではなく、非常に価値のあるものである。

今度こそこの経験(感情)を絶対に忘れずに、今後の人生に活かしたいと思う。

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